名古屋市西区の税理士・会計事務所「堀尾博樹税理士事務所」。相続対策や事業承継でお困りの方、経営計画や月次決算で会社を強くしたい方はご相談ください!
豚ひき肉を「牛ミンチ」と称して冷凍コロッケに使用していたミートホープ(株)(北海道苫小牧市)。「偽ミンチ」以外にも、店舗から返品された冷凍コロッケを安く買い取り賞味期限を改ざんして転売したり、ブラジル産の鶏肉を国産と偽って学校給食用として出荷したり、食肉の解凍に雨水を使用したりと、悪質な手口が次々と発覚しました。
同社がこうした「反社会的」ともいえる行為に手を染めたのは、ほかならぬ社長の意思決定によるもの。従業員が「社長は雲の上の人」と発言してしまうほど、社長はワンマン経営を行なってきました。
ミートホープに欠けていたものは何でしょうか?いろいろある中の一つして「経営理念」が挙げられます。
経営理念とは3つの要素から成り立っています。
もう少し説明すると、ミッションは何をもって行動して成果を出すのか、どのように社会の役に立つかを定めたもの。ビジョンは、単なる願いではなく「必ず実現する」という約束でもあります。
そして、この3要素のなかで最も重要なのはバリュー。バリューは「行動に影響を与える考え方」ともいえます。会社が掲げるバリューに共感できない社員と仕事をしても絶対にうまくいきません。
新規事業を始めたときはミッションが、経営が計画通りにいかないときはビジョンが変化することがありますが、バリューは不変なものなのです。
これら経営理念は、社員が業務を遂行する際のよりどころにもなります。業務を進めていて判断に迷うようなことがあっても、これら理念に立ち返って考えれば答えを導き出すことができます。
ミートホープの場合はどうでしょう?ミッションもビジョンもバリューも「社長そのもの」といえるのではないでしょうか。どんなに「おかしい」と思えることでも、社長が「やる」と号令を出したら、従業員はそれを実行する。社長の考えに異を唱えると会社にいられない。従業員は何も考えずに、社長だけを向いて仕事をしていたといわれても過言ではないでしょう。
昨今は大企業でも、不祥事を起こして信用を失墜させた例が珍しくありません。この場合も、経営理念が存在しながら形骸化していたことがわかります。今回のミートホープの事件は、経営理念がないことが引き起こした悲劇。経営理念が企業活動においていかに重要か、多くの経営者に一石を投じたトピックスとも受け取れるでしょう。
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